2026年1月30日

 ある深夜、「兄さん」と叫んだ父が、寝室の入り口の襖に飛びついたと母が話していました。戦前に全学ストライキを指導した高校生であったせいか、幾度も暴漢集団に襲われそうになったという父ですが、不思議なことに、いつも長兄がどこからともなく現れて、ほとんど動くこともなく、あっという間に暴漢をなぎ倒し、父を救ってくれたということです。本当に強かったんだ、と話す時の父はいつも涙目でした。

 その長兄は、あの戦争に出征し、戻ることもありませんでした。そして、襖飛びつき事件から1年もたたない正月に、父も亡くなりましたが、戦争後、半世紀ほど経っても心の片隅でその兄がいつか帰ってくることを願い続けていたのは間違いありません。何ともやりきれない思いに駆られる1月です。

 戦争は人間のやることではない。何度も繰り返します。

 

            2026  1/31